各地で桜が開花している。連日多くの花見客が訪れ、昨春より人出が増えている所も目立つ。ただ、新型コロナウイルスの感染対策から、今年も飲食禁止など制限付きになっている花見会場も少なくない。
毎年約3千本の桜が咲き、数十万人の花見客が訪れる大阪城公園(大阪市中央区)。今年も桜が咲き始めており、22日も散策中に足を止めてスマートフォンで花を撮影したり、シートを敷いて弁当を食べたりしている人の姿が見られた。
ただ、園内を見渡すと、「シートを敷いての飲食はやめましょう」「密を避け、散策しながら楽しみましょう」などと書かれた立て看板が目に入った。
公園を管理する大阪城パークマネジメントによると、3月中旬、園内約20カ所の看板に花見時の注意を新たに付け加えたという。
同園では、昨春も新型コロナの感染対策で飲食を控えるように促した。今年も感染状況が収束していないことから、昨年同様に飲食しないよう求める。
担当者は「看板にいちいち書いてはないが、シートでもベンチでも飲食はやめてほしい。全てを排除できないが、大声を出していたり、多人数で飲食したりしている場合は注意したい」と話す。
家族3人で来ていた大阪府東大阪市の松井優香さん(21)も、飲食はせず、歩きながら見るだけにした。「土日は人が多いのでやめた。せっかくのきれいな桜。感染リスクを考え、ルールを守って楽しみます」
昨春は中止になった造幣局(大阪市北区)の「桜の通り抜け」も、今年は開催される。ただ、混雑緩和で初めて事前申込制を採り入れ、来場者は例年の15分の1に。既に申し込みは締め切られたが、1時間ごとの入場を最大1200人に限定し、参加者の距離が2メートル以上になるようにした。
検温やマスクの着用、手の消毒も求め、ライトアップがある夜桜は中止に。会場では「ソーシャルディスタンスを保って下さい」「大声での会話はお控え下さい」とアナウンスする。
万博記念公園(大阪府吹田市)も、宴会の自粛を促し、飲食をする際は4人以下でマスク着用が条件だ。
兵庫県西宮市の夙川(しゅくがわ)公園も飲酒や宴会を禁止にし、散策のみの花見としている。同市の担当者は「厳しめのお願いで心苦しいが、感染はまだ続いている。警戒するしかない」と言う。
ソフトバンクの子会社「アグープ」は、スマートフォンの位置情報を元に、全国18の花見スポットの推計人口を調査している。朝日新聞は、同社から1時間ごとの平均人口についてデータの提供を受けた。
大阪管区気象台が大阪市内で桜の開花を発表した19日、万博記念公園では、午後3時台の平均人口が昨春の開花日よりも21%増加。神戸地方気象台は24日に神戸市での開花を宣言したが、少し離れている夙川公園の23日午後3時台の人出は、昨春の開花日の1・4倍。一昨年の開花日を超えていた。
東京都心では、緊急事態宣言中の14日に開花が発表されたが、午後3時台の人出は、天気が良くなかった昨年の開花日に比べて、上野恩賜(おんし)公園では54%、隅田公園では81%増えていた。(山中由睦、徳永猛城)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル